2010年05月10日

西原理恵子展覧会・バラハク&トークショー・日仏 SFマンガサミット Part2(5/4)@京都国際マンガミュージアム

GW最中の5/4(火)、博物館のハシゴに京都まで行ってきました。
京都国際マンガミュージアム西原理恵子博覧会・バラハク」(5/9終了)と京都国立博物館「特別展覧会・長谷川等伯」(5/9終了)の2件です。

20100504_01.jpg

まずは、烏丸御池の京都国際マンガミュージアムへ。
広い芝生の庭があって、大勢の人が寝転んでマンガ読んでる光景にちょっとびっくり。
(廃校になった小学校をそのまま利用しているそうなので、元校庭ですね)

マンガの詰まった書棚の並んだ廊下を抜けて、2階の特別展会場へ。
会場の入り口で特典の記念シールをもらいます。

展示は、カラーイラストのパネル、マンガ原画、懐かしのグッズ、仕事場再現、映画関連の資料など色々。
「触らないでください」と注意書きの付いた多分発泡スチロール製のいけちゃん人形、いかにも指で押さえたような跡でボコボコになってました。
まーじゃんほうろうきのPSのソフトとかもおいてあって懐かしい。
(麻雀のルール分からないのに買ってたなぁ……)

あと、4/4に開催された画力対決イベントで書かれた原画の展示もあり。

と、展示物を見ていたら、「もうすぐ安彦良和さんのトークイベントを開催します」というようなアナウンス放送が……。

そういうイベントがあるということを全くチェックしていなかったのでちょっと驚き、せっかくのタイミングなので、ということで観覧することにしました。

13:30からの開始で、バラハク見終わってホールに行ったのが13:50頃でしたが、まだ満席ではなかったので入れて良かったです。

「トークショー・日仏SFマンガサミット」というイベントで、5/3にPart1(フランスのSFコミックの作者と谷口ジローのトークショー)が開催されていたそうで、この日はPart2として、1stガンダムのキャラクターデザインの安彦良和氏とフランスのSFコミックの作者であるジャン=ダヴィット・モルガン氏のトークショーが行われていました。

私が席に着いたときはモルヴァン氏の日本のアニメやマンガとの出会いについて語られていました。
(モルヴァン氏がフランス語でしゃべって、通訳が入って、という流れ)
以下、メモのまとめです。
話の流れがよく理解できなかったり、メモが途切れている部分もありますが、御容赦。長いです。

・30年前、10歳のとき、フランスでは日本のアニメーションがテレビで放送されるという『革命』があった
・グレンタイザー、ハーロック、キャンディキャンディ、コブラなど
・若い作家は、日本のSF作品に影響を受けている
・その後、ガンダム、マクロスがフランスにも入ってきた
・戦争などの題材、シリアスな問題が扱われており、それによって、フランスでは子どもに対するイメージが変わってきた
 (それまでは、子どもは無垢な存在であるとされてきた)
・マンガの暴力的な表現が問題となり、教育上よろしくないということでマンガに対する締め付けが始まった
・子どもというのは禁止されるほど逆の方に行くものだ

・(安彦氏に)当時、フランスの視聴者を意識していましたか?
・海の向こうに、日本とは違うマンガ文化があるということは知ってはいたが、知識はなかった
・自分(安彦氏)はSFに対して語る資格やこだわりはない
・絵描きとしてSFに関わっているかな

・フランスでのSFでの状況は、文学からサブカルチャーの方向に移行しつつある
・日本でのSFの状況はやばい
・ガンダムをつくったことでSFの世界に悶着を起こした
 (ガンダムはSFであるのか、SFではないのか)
・結論として、SFではないということになった(ガンダムのアイデアの提供や裏設定に貢献した高千穂遥が断言した)
・昨年(安彦氏と)富野由悠季監督と対談をしたとき、SFの話が出た
・富野監督から、SFであろうがなかろうがどうでもいいと聞いて安心した
・SFであるかないかにこだわる人間と、面白ければどちらでもいいという人間の2種類がいる。自分はあまりこだわらない方に組したい

・(モルヴァン氏)自分もどちらでもいい派に所属したい

・(安彦氏に)ガンダムは海外でも高く評価されているが、この状況を予想していたか
・(安彦氏)予想するわけがない
・30年前の日本でも、4月開始・午後5時半からの放送だった
・まだ明るいので、お客さんである子どもたちは外で遊んでいるような時間の放送
・こんな時間に家でテレビを見ているような子は碌な子じゃない
・ホームビデオの文化がようやく始まった頃で、録画されることも想定してなかった
・なので、放送してしまえばこっちのもんだと思って作っていた
・何を作ってもいいという開き直りがあった

・モルヴァン氏の話の中で、グレンダイザーやハーロックといった懐かしいタイトルが出てきた
・巨大ロボットものは何本か作った。そういうものしか作れなかった
・基本はマンガのアニメ化
・スポンサーを見つけて放送するが、70年頃の大不況で広告費がカットされ、スポンサーが付かなくなった
・それが72〜73年頃の状況で、虫プロが潰れ、もっと仕事がなくなった
・このときの救い主になったのが、玩具メーカだった
・番組そのものが30分間の広告媒体、CMになる
・不景気のときでも玩具メーカだけは見放さなかった。だからロボットアニメを作った
・原作がないから、勝手な話を作れた
・スポンサーさえ騙せば、何をやっても許されるとは、富野由悠季が言った
・ガンダムはその典型

・(モルヴァン氏)フランスでも「良い子でない子」に正しく届いていた
・20歳になっても、カフェでたむろする代わりに、家でドラゴンボールを見ていた
・職業になったから良かったが、そうでなかったらただのオタクだっただろう

・(安彦氏)何をやってもいい状況で、じゃあ何をやるか
・勧善懲悪の形に飽きていた
・主人公の造形はポジティブ、日本人、快活でないとダメ。頭は悪くても
・アムロという主人公は美少年ではない
・古谷徹氏が、イベントで一緒になった際、アムロの第一印象を美少年ではないと思ったと語っていた
・髪の毛が縮れて赤い。上目遣い。暗そう。メカオタク
・当時では考えられないぐらいネガティブな主人公
・スポンサーは玩具のキャラに興味があるので、それ以外はノーチェック
・現実はポジティブだけじゃないので、ネガティブなキャラにこだわった。そういう世界の話を作りたいと思った
・コミュニティ、人間関係を描きたい。我々の現実と同じようなそういう話を描きたかった
・誰も見ていないと思いながら、よくやった
・モルヴァン氏に媚を売るわけではないけれど、アムロは日本人でもフランス人でもないが、カラーは意図的にフランスカラーを使っている
・登場人物が善玉だけではない
・真実というものは存在しない。視点、考え方が存在する
・視点を提示し、(視聴者に)どちらの側につくのか選ばせる

・(モルヴァン氏)ガンダムを知ったのはSF的な要素からではなく、安彦氏のマンガ作品を知ってそちらからだった
・安彦氏の才能、物語の力強さに引きつけられた
・ガンダムにおけるSFというのは、口実にすぎないのでは
・語りかけているのは現代の我々(の物語)。そういったものを読みとっている。
・メッセージを語るための枠組みではないかと考えている

・コミックの強さとは、子どもが強制されてではなく、自発的に読むこと
・マンガを読みながら、社会的な問題について考えるとき、自発的な態度を誘発するのではないか
・マンガには、人々に訴えてある種の指向(思考?嗜好?)を誘発する使命がある
・ガンダムに限らず、どのように異文化の中で受け入れられるべきか

・(安彦氏)モルヴァン氏が自分のことをガンダム以外の作品で知ったというのが不思議
・ガンダムは売れているが、他の作品はお世辞にも売れていない
・虹色のトロツキーが今月再販される。つまりこれまで絶版状態だった
・日本の作家で、国内で売れていない割に海外では知られている作家がいる
・誰がチョイスして、どうやって紹介しているのか、どうやって情報を得ているのかわからない
・(近頃)コンテンツビジネスはお金になると言われている。そういうことが果たしていいことか
・そういう場合、自分の作品はチョイスされず、売れるものが選ばれるのではないか
・今のままそっとしておいてほしい

・(モルヴァン氏)自分の場合は日本に来て、日本のマンガの情報を得ている
・まだフランス語に翻訳されていないので正確なところはわからないが、絵から読み取る
・どのようにしてマンガを発見したかというのは、子どもの頃、親に連れられて日本に来た時、アニメしか知らず、マンガの本があることを知らなかった。
・日本で知って、大量にマンガの本を買って帰った
・どのようにしてマンガを選んでいいかわからなかったので、ビニールがかけられているマンガの本をちょっと曲げて中を覗いて絵が良かったら買った。時々店員に怒られたこともあった
・「ガンダム THE ORIGIN」はフランス語にも翻訳されている
・「イエス」「ジャンヌ」もフランス語に翻訳されている

・(安彦氏)この2作は海外の読者にも読んでもらいたいと思って書いた作品
・ジャンヌが死んだ後の話を描いたので、フランスの人が読んだらどう思うかと、いじわるなことを思いながら描いた

・(モルヴァン氏)ジャンヌダルクは本当に実在したのか、真相は明らかになっていない
・愛国者のイメージができたのは19世紀

・今、(日本の)マンガというものはフランスで市民権を得ている
・「ジャンヌ」はフルカラーで描かれているが、カラーのマンガは日本マンガではないという人もいる
・白黒のマンガがフランスでもスタンダードになっている

・(安彦氏)フルカラーのマンガは日本では珍しい
・カラーを描けないことに対して不満を持っている作家もいる
・そういう作家をフランスに誘って、カラーマンガを描くこともある
・マンガというのは変わりつつある
・デジタルを使った様々な取り組みもある
・日本の絵描きとコラボレーションして、日本への逆輸入もある
・フランスのマンガを日本で出版するという話もある
・日仏のマンガの逆輸入の行ったり来たりもあるだろう
・マンガの多様性、あり方は増えるのでは
・色という要素を議題にしていいのか

・(安彦氏)白黒の貧相なマンガでは(海外に)侮られるのではないかと色をつけてみた
・海外のマンガの水準を知らなかった
・フランスでは色が付いているマンガは日本のマンガではないと思われているという話を聞いてショッキング
・(モルヴァン氏)日本のマンガと海外のマンガで喧嘩する必要はなく、それぞれ違うものである
・(安彦氏)見た目がどうこうということではないと確信して安心した
・(モルヴァン氏)フランスのマンガ作家と日本の作家との質的な違いは全然感じない
・マンガがある種の贅沢品、芸術作品として出ていることもある
・マンガは芸術作品ではなく、もっとポピュラーなもの
・日本のマンガ作家がコンプレックスを抱く必要はない

・「メカ」という巨大ロボットもののマンガを描いた
・フランスにはそれまで巨大ロボットが戦うようなマンガはなかった
・自分たちが正義のために戦った結果、街をぶっ壊して災害を起こしてしまい、その災害、自分が引き起こしてしまった惨状について考え直すという話
・何のために戦っていたのか自問する
・フランスの読者の反応は、実は作品があまり売れていないのでよくは知らない
・映画にしたいというオファーはあったが、巨大ロボットは日本の専売特許でありフランス人がやるもんじゃないということでぽしゃってしまった
・宇宙戦争、ロボット、状況については説明がない、ロボットが故障してしまい、パイロットが街に下りて、自分が引き起こした惨状を見る。壊された町。盗賊たちが状況に付け込んでやってくる。
・読者は盗賊と善玉の戦いを期待するが、物語はそのまま終わり、読者の期待を宙づりにする

・巨大ロボットがフランスで受け入れられない理由は戦争体験の違いではないかという意見がある
・(安彦氏)戦争体験という言葉をどう受け取っていいのかわからない
・(マンガの)ロボットには、アトムと鉄人28号の二つの流れがある
・生命のないロボット、道具としてのロボット
・日本人はロボットが好きだと言われる
・鉄人28号は日本軍の秘密兵器として作られたという設定
・僕は戦争を知らない。
・戦争に行った親たちは、日本はアメリカの科学技術に負けたと言っていた
・戦後の日本は、政治ではなく、科学技術とビジネスに走った
・後はマンガに行った(笑い)

・(モルヴァン氏)戦争体験という話については、フランスも20世紀の歴史で二度破壊されている。ドイツとアメリカによって
・アメリカ軍に対して、アンビバレントな感情がある
・正義のためにやってきたけれど……というのに繋がっている

・(進行、安彦氏に)ジャンヌをこの場で描いてください

・(安彦氏)日本のマンガ家は絵がうまいかどうかは疑わしい
・記号という便利なものがある
・記号はリアルに描こうとすると邪魔になるが、マンガを描く上では役に立つ
・記号は便利だが画一的になる
・日本のマンガは画一的にならないようにストーリーテーリングなどで死守してきた
・アムロは美形ではなく、眉毛はへらへら、白目が広くて三白眼、背格好も良くない(アムロの顔を描きながら)
・髪の毛が描きにくいとアニメーターに顰蹙を買った
・主人公の描き方とするとひねくれている
・これ以上崩すと主人公は務まらない
・今の売れ筋はこんな感じ(と萌え系女の子の絵を描く)
・かわいい系で更に記号化が進んでいく
・(この絵に)鼻を描くとかわいい系は崩壊する
・記号にもたれかかると便利なんだけどちょっと心配
・記号を海外の人はあまり活用していない

・(モルヴァン氏)フランスのマンガに関して言うと、日本のようなコード、記号はない
・若い作家は日本の影響で使うようになってきている
・アメリカのコミックにも(記号が)見られる
・フランスではそれぞれの作家がそれぞれのオリジナリティを追及する傾向にある
・フランス、西洋の(芸術の?)傾向として、一つの傑作ができるとそれを真似する、その形式を使って別の作品を作るというのがあるが、ことマンガに関してはそのような傾向は見られない
・二つの芸術の作り方がある
・あるスタイルを自分のものとして発展させていく
・ひとつのものができたら、それを真似してコピーして売っていく
・フランスは後者の方、手塚治虫は最初の方をやった

・(進行)最後に何か一言あれば

・(モルヴァン氏)日本のアニメの影響をもろに受けた幼少世代
・自分を作り上げた人々と共にいられて、確認できてうれしく思う

・(安彦氏)いい加減なつくりでガンダムを作った
・(「ガンダム THE ORIGIN」は)分かるようにマンガで描き直してくれと頼まれて描いている
・後1年弱で終わる予定
・これまで10年続いている。3〜4年で終わると思っていた
・これが終わったら、また気ままに歴史物なんかを描いていきたい

・(モルヴァン氏)ガンダムが終わった暁には、フランスマンガの方にも進出していただきたい


今回のトークショー、聞けてとにかくラッキー。
安彦先生は、お馴染みの似顔絵そのまんまの髪型でした。
このブログ記事描くためにメモ読み返してみると、結構説明矛盾しているところがあるような……(メモの取り方が悪かった?)
そういえば、ジャンヌの絵は結局描いてなかったような。

この後、ミュージアムショップを覗くも、バラハクグッズは特に欲しいと思うものがなかったのでパス。
(人気商品は早めに売り切れたのかな)

今回は、マンガミュージアムのメインである書棚いっぱいのマンガには指一本触れることなく後にしたので、今度は芝生に寝転がってマンガ読む目的でまた来たいな。
posted by とーき at 00:07| Comment(0) | TrackBack(0) | イベントレポ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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